「真水」は様々な用法・定義が存在する語であり、厳密な定義が合意された経済用語ではない。しかし、英語例文の文脈では追加の歳出と同義である。第一生命経済研究所の
2019年12月のレポートは、「真水」が財政支出の意味で使われることが多いと指摘し、経済対策の総額を事業規模と称する。その総額から財政投融資、政府系金融機関による融資や民間負担分を除いた額が財政支出(=真水)であると定義している。
この概念を日本語から英語に移すための定訳は存在しないかもしれない。英語例文と同じニュースを報じるPaul Jacksonによる
Bloombergの英語記事は、
While Abe’s stimulus package of 108 trillion yen was far larger than a set of measures introduced 11 years ago during the global financial crisis, they said the direct boost to the economy would be closer to 14 trillion yen.
と記している。同じ記事の
日本語版(Jackson氏も筆者の一人)は平行箇所で「真水」というカギ括弧付きの表現を用いている。Bloombergの英語表現は、説明的で訳語とはいえないが、
「真水」の別の定義を利用した正確な翻訳になっている。
Zurich Insuranceの
2019年12月のレポートは、安倍政権による当時の経済政策を解説して、
the so called ‘fresh water’, or ‘mamizu’ (真水) impact that directly impacts economic growth
という表現をしていた。