上記の具体例の多くは、false rumour, baseless rumour, internet rumourなどと表しても意味は同じだが、mythのほうが端的で伝わりやすいし、使い勝手がよい。例えば「医療デマ」は上述のように "health myth" とすると「根拠のない健康情報」ということがすぐに伝わる。これが "health rumour" だと「根拠があるのかないのかわからない健康情報」程度だし、これにfalseなりbaselessなりをつけようとすると冗長でぎこちない表現になるのだと思う。
このmythは、英→日の人力翻訳で「神話」と訳されていることが少なくないが、これらのケースで「神話」という日本語を使うことは原文が言っていることを正しく伝えない可能性が極めて高く、注意が必要である(そう訳すことになっている学術用語の類は別だが、広く一般の人々に供する文では「神話」という日本語は取り扱い要注意である)。一方で、次の記事見出しにある myth は「神話」とすべきであろう→
"Why the cruel myth of the 'blitz spirit' is no model for how to fight coronavirus"
英BBCの子供向けニュースに、次のような記述がある。"not true = myth" ということがよくわかると思う。対義語は文末にある "fact" だ。
Lots of information has been doing the rounds about the virus and not all of it is true. So Leah's been busting some myths about the coronavirus to help you tell the difference between myth and fact. https://www.bbc.co.uk/newsround/51393288
日本語の「デマ」は、原義(狭義)の「政治的意図のある、情報攪乱のためのニセ情報」に限らず、ざっくりと「不正確な情報、誤情報」を言うが、これを英語で「デマ」を直訳したつもりになってdemagogyと表しても、おそらく、全然通じない。
この日本語の「デマ」について、myth以外の表現は、別項目・別ページにまとめていきたい。下記のタグから、
"日本語の「デマ」の表現" のところを参照されたい。
https://english-vocab-covid-19.memo.wiki/t/%c6%fc%...