ヨーロッパにおけるヘジャブやニカブの着用制限には、face coveringがコミュニケーションを難しくするという論点がある。一例として、Wikipediaの
French ban on face covering項に
Arguments supporting this proposal include that face-coverings prevent the clear identification of a person (which is both a security risk, and a social hindrance within a society which relies on facial recognition and expression in communication)
とある。ヘジャブやニカブの是非はこの項目ですべき記述の範囲外だが、人間が顔面のどこから情報を読み取ってコミュニケーションに役立てているのかは、面白い文化比較の題材だろう。
マスク姿のヒーローを日本とアメリカで端的に比較できる画像がある。
鼻から下を隠すのが日本のヒーローで、目の周りを隠すのがアメリカのヒーローという典型が読み取れる。前者の中には、医療や調理でつかわれるいわゆるマスクによく似たものがみられる。
印象的な図像は他にも。
これは東京女子大学 現代教育学部 心理学専攻の田中章浩教授の
プレゼン資料らしい。
「目は口ほどに物を言い」ということわざも、この文脈で解することができるかも。
顔とコミュニケーションの関係には、どんな研究があるのだろうか?
山口真美『自分の顔が好きですか? 「顔」の心理学』岩波ジュニア新書 東京、岩波書店、2016年。
によると(
引用はツイッターからの拾い物)、
…文化的な違いがもっと幼いころから始まることがわかっています。顔を見せたときにどこを見るか、視線の動きを追跡した実験から、七か月ころから文化による違いがあることがわかっています。つまり、日本人は赤ちゃんの頃から、表情を見るときに目を注視する傾向があったのです。
日本人は、極めて幼い頃から、目に注目して表情を読み取る文化的影響力にさらされているらしい。
過度の一般化をしないように注意が必要かも。この実験結果は、日本人がマスクに威圧を感じないのかどうか、感じないとしてその理由を明らかにしないし、欧米における各種のフェイスカバーへの好悪についての直接的な説明でもない。