2020年の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のパンデミックについての英語圏の報道記事やTwitterの投稿などから、翻訳に役立つ表現を蓄積していくことが、当Wikiの目的です。

日本語

ロックダウン
外出の禁止・制限
(都市封鎖)

英語での表現&単語の場合は品詞

lockdown
名詞

英語例文&出典

The Irish government has announced sweeping restrictions that will put Ireland in a de facto lockdown to try to slow the spread of coronavirus.
https://www.theguardian.com/world/2020/mar/27/stay...

With Britain beginning its second full week under effective lockdown, she indicated that normal life was not likely to resume for three to six months – and “it is plausible it could go further than that”, she cautioned.
https://www.theguardian.com/world/2020/mar/29/worr...

Just in 21days of lockdown our stars look like this if lockdown extended think how they look

※インドのTwitterユーザー。ツイート本文で "lockdown", 画像は "quarantine".
※ツイートが表示できなくなっている場合は下記のキャプチャを参照(URLを貼ると画像が展開されてしまうので「h抜き」してあります。URLコピペでご確認ください)。
ttps://image01.seesaawiki.jp/e/o/english-vocab-covid-19-memo/ycO7casDJ9.png

補足・特記事項など

日本語圏と英語圏とではかなり話が違ってしまっているかもしれないが、以下、英語圏でどういうふうになっているかを簡単に述べておく。

「ロックダウン」の「ロック」は、rockではなくlockで、「鍵」の意味。車のドアロックの「ロック」であり、音楽のロックンロールの「ロック」や、スポーツのロッククライミングの「ロック」ではない。

本来、「ロックダウン lockdown」は「都市封鎖」の意味ではない。「建物の封鎖」のことである。

英語圏ニュースでよくあるのは、「銃撃犯が銃を持ったまま逃走中」という状況で、その地域の建物すべての人の出入りを封じる(鍵をかけてしまう)ことをlockdownというもの。下記の例などを参照。




lockdownという複合語の元となっているlock downという表現は、「鍵を完全に(全体的に)かけてしまう」ことをいう。例えば、ゾンビ映画で人間たちが建物のドアというドアに施錠して誰も外から入ってこれないようにする(自分たちも出ないようにする)のが「ロックダウン」の状態である。

また、2011年3月の原発事故のあとに「外に出るな、窓を開けるな」と言われたときのも「ロックダウン」。Googleで2011年3月11日から20日に期間指定してlockdownというワードを検索すると当時の記事が確認できる。例えば英ガーディアン:
https://www.theguardian.com/world/2011/mar/15/japa...
As officials urged people living near the stricken plant to stay indoors, residents in the capital, 150 miles to the south, began preparing for the possibility of a similar lockdown.

lockdownの要点は「人の出入りを封じること」である。この点、コリンズ・コウビルドの定義がとてもわかりやすい。
https://www.collinsdictionary.com/dictionary/engli...

一方で、ウィキペディアでは「建物からの人の出入りを禁じること」のlockdownと、今回のmass quarantineを意味するlockdownとは別項の扱いになっている。
https://en.wikipedia.org/wiki/Lockdown

後者は正式には "stay-at-home order" といい、ウィキペディア英語版ではこちらの用語で立項されている(が、日本語版ではごっちゃにされたまま定着した様子)。
https://en.wikipedia.org/wiki/Stay-at-home_order

英語版ウィキペディアのStay-at-home orderの項を見ると「メディアなどがlockdownと言う」ということが強調されている。
Although it is not a technical term in public health or laws, the media continued to use lockdown to describe those actions by the governments.
つまりlockdownは厳密な用語ではなく、一種の俗語的な表現というか、メディア用語といえるだろう。日本語でもそういうものはある(例えば国連での「非難決議」)。メディアは "order" (命令、法令)という言葉を使いたくないのかもしれない。厳密になりすぎてしまうから(厳密になりすぎると、政府がorderを出しているかいないかが問題となり、orderが出ていなければそれこそ日本での「自粛要請」的なことになり、社会保障上の問題をどう扱うかという点で頭が痛いことになる……はず)。

日本では「ロックダウン」は今回の新型コロナウイルスで初めてカタカナ語として語彙に入ったようで、意味は「都市封鎖」であるという解説がなされている。その語義の直接的な由来は、2020年1月の春節のときに中国の武漢が「都市封鎖」された(「ロックダウン」された)ことにある。武漢のロックダウンは、武漢からの出入りを一切禁止するということで、つまり都市ごと一つの建物のようにロックダウンの状態に置かれたということである。

だが本来、英語のlockdownは、「銃を持った男がうろうろしているので、誰も今いる場所から動かないように」といった事態のことを言う。アメリカで頻発する銃撃事件で、街がlockdownの状態に置かれているという報告はよく流れてくる。銃を使ったテロ攻撃に際してもよく見る表現で、2019年のニュージーランドでのモスク銃撃テロのときも「市内の病院がロックダウン」(誰も入れないようにしている)という報告があった。何年か前にカナダのオタワで国会議事堂が銃撃されたときも、当初銃撃犯が複数いると見られていて、市街の相当な範囲がロックダウンの状態になっていたはずだ。ロンドンの国会議事堂が暴走車両とナイフで襲われたときも、暴走車が突っ込んできた直後に議事堂がロックダウンされていた。……というように、原義のlockdownは英語圏報道を見ているとかなり頻繁に遭遇する語である。

今回の新型コロナウイルスに関する措置で行われている「外出禁止」を言う英語としては、curfewが圧倒的に多いと思う。
A curfew is in effect in the Iraqi capital Baghdad after a second day of clashes between anti-government protesters and security forces. https://www.bbc.com/news/world-middle-east-4990977...


2020年4月6日補記: 日本語の報道でも「ロックダウン」が大々的に取りざたされるようになって10日ほど経つだろうか(細かく記録していなかった。初出情報などおありの場合Wiki更新 or コメント投稿お願いします)。そのタイミングでのTwitterから。

神戸大・岩田健太郎教授:


高橋さきのさん(単純なTwitter読み込みだとこのWikiの仕様上たいへん読みづらくなるので、文面をコピペ):
via https://twitter.com/sakinotk/status/12466630571802... (4月5日)
【語彙メモ】 mass quarantineやstay-at-home orderとしてのlockdownはどのあたりから/どこから? SARS/中国発? 本格的大々的使用は今回から? 

COCA (Corpus of Contemporary American English):
※以下、PC閲覧中に画像が「小さいな」と思ったらクリックしてみてください。原寸表示されます。



Google NgramViewer:



2004年のWIRED記事: https://www.wired.com/2003/04/beijing-undergoes-sa...



2020年1月のロイター記事: https://www.reuters.com/article/us-china-health-wh...



via https://twitter.com/sakinotk/status/12466630571802... (4月5日)
lockdownという用語から、そのやり方が決まるような概念ではないということ。今、世界各地で試行錯誤中。私たち民草の知恵が試されている場面。

via https://twitter.com/sakinotk/status/12469522074983... (4月6日)
lockdown (この意味)が実質新語に近いことは、たとえば、今回の新型コロナウイルスについてlockdown の初出にちかいころのこのロイター記事(1/23 https://www.reuters.com/article/us-china-health-wh... )などだと、動詞はlock downの2語表記だったり……。語彙論的手法でも、いろいろ確認してみることは可能。

※リンク先ロイター記事、見出しは "Wuhan lockdown" (名詞で1語の表記)、書き出しの文は "China’s decision to lock down Wuhan, a city of 11 million people, ..." (動詞で2語の表記)、その次に出てくるところでは "The lockdown of 11 million people is unprecedented in public health history, ..." (名詞で1語の表記)

※今(4月6日)これを入力しているGoogle Chromeの画面でも、スペルチェッカーの機能で、 "lockdown" の語は「間違ってますよ」と警告されている。



via https://twitter.com/sakinotk/status/12469560243863... (4月6日)
語彙としてのlockdown自体(意味はだいぶ違うというか、広いけれど)も結構新しい。
COCA (Corpus of Contemporary American English):



Google NgramViewer:



via https://twitter.com/sakinotk/status/12469567460666... (4月6日)
2004年にWiredがlockdown突出して使ってみたという用例(この時点ではひろがらなかった)。これもSARSのはなしというか、中国のはなしというか、共産圏だから何か「強め」のことをやってんじゃね?……みたいな発想があって、監獄に関して使われるような語彙が選ばれたのではないでしょうか。
2004年のWIRED記事: https://www.wired.com/2003/04/beijing-undergoes-sa...


※WIREDのこの記事で "lockdown" が出てくるのは見出しだけ。本文には出てこない。本文では "Karaoke parlors, movie theaters and discos shut their doors Sunday under orders from Beijing officials", "Those violating the quarantine, including foreigners, can be jailed for up to two years or fined up to $8,600, (Taiwan's) Premier Yu Shyi-kun said", "Singapore said it would close dozens of food markets and ban visits to public hospitals to contain its outbreak", "Beijing has sealed off three hospitals in a mass quarantine of patients and staff, and 7,600 people who may have been exposed have been ordered to stay home. The city's public schools also are closed, affecting 1.7 million students." などと個別具体的に表されている。

via https://twitter.com/sakinotk/status/12469584073256... (4月6日)
ご参考。2002年新英和大辞典:



Cobuildの現時点での記載。用例も新しめ:


via https://twitter.com/tmrowing/status/12471102808336... (4月6日)
COHAの初出は1983年でした。2000年代には形容詞化の例も。









Wiki参加者各位へのお願い(4月6日): 以下、この件での追加事項がおありの場合、Twitterでの@nofrills宛てリプではなく、Wikiに直接書き込んでいただけると嬉しいです。一日中これのことを考えていたら、頭がおかしくなってしまいました(言葉が処理できないという過負荷の症状が出てきてしまいました)。宜しくお願いいたします。

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